呪島~ノロイジマ~
「俺も残ります。いや……俺たちも」


敦也が美絵の顔をチラッと見ながら言った。



「はぁ? オマエ何言うとるか分かっとるんか?」


「金森さんは頭を打っています。無理して動かすのは危険でしょ? それに彼女を背負って山を越えるのは正直厳しいと思います」



「そ……それは確かに……」


大輔は逆に焦った。


そうなると一人で山を越えなければならない。正直一人になるのは怖い。

かといってここに残っても助かるとは思えないのだ。



もし……この子たちの仲間が生きているのなら、この女の子の意見を聞いて、この子の彼氏を捜すのが正解なのかもしれない。


まさに究極の選択である。


ただ……大昔から漁師として自然と対峙して来た大輔の感が、ここは危険であると伝えている。


大輔は悩んだあげく、自分の感を信じることにした。

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