呪島~ノロイジマ~
普通に歩けば沖神の峠を越えるまで三十分ちょっと、

そこから大輔の家までは十分もかからない。


日が暮れるギリギリのところだろう。


――今出なければ間に合わない。



もちろんこの明るい時間帯にも幽霊はおかまいなしに出てくるだろう。

それでも、日が暮れてからよりは随分マシだと大輔は思った。



「ほんならワシは行くけぇ。向こうに着いたらすぐに、本土の警察を呼んじゃるから、仲間の捜索もしてもらえるじゃろう」


大輔は一旦言葉を切る。




「ただ……」



「ただ?」


口ごもって暗い顔をした大輔に瞳が聞き返した。



「もし途中でワシが幽霊にやられたら、その時は誰も来んから……」


大輔の悲痛な顔を見て、三人は唾を飲み込んだ。

< 315 / 716 >

この作品をシェア

pagetop