呪島~ノロイジマ~
「どうしたの祐次!?」


祐次の悲鳴に、早紀が慌てて下を覗きこむ。


身を乗り出した早紀の目に、ロープにぶら下がる祐次と、

平気で斜面に立ち、笑顔で祐次を見つめる女が見えた。





「いやぁああああああああ」


叫んだ早紀のほうに女が向いた。





目と目が合う。


女がニヤニヤと笑った。




「やめて! 祐次に何もしないで!」


早紀は大声で叫んだ。


この急斜面である。助けに行きたいのに、行けば絶対に助からない。


もどかしかった。


腹立たしかった。



でも……ただ見ていることしか出来なかった。

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