呪島~ノロイジマ~
女の頭を観察する。


出血はしているが致命傷となるような、そんなに大きな傷のようではない。


女の身体を反転させて仰向けにすると、幸成は女の呼吸を確かめた。



その時……





「ぅぅう」


女の口から声が漏れた。



「生きてる!」


幸成は妻と目を合わせる。




「誰か呼んでこなきゃ」


「おお、やっぱ大輔さんだろ」



若い二人は青年団の団長を務める大輔の名前が真っ先に浮かんだ。



「でももう帰って来てるかしら?」



「そ……そうだった。でも沖神港に送って帰ってくるだけなら、さすがにもう帰って来てるだろ?」


「とりあえず行ってみましょう」


「おお」


一人で残るのが怖くて、二人は揃って大輔の家に向かった。

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