呪島~ノロイジマ~
「じゃあ帰ろうか」


「えっ!?」


突然の早紀の台詞に、美絵は驚いてその顔を見つめた。


驚いたのはもちろん美絵だけではない。




「ちょっと待ってよ早紀」


今まで黙っていた瞳が声を出した。


「いくらなんでも、まだ何もしてないのに」


「ごめんヒトミン。でも美絵がこれじゃあ楽しめないよ」


早紀は美絵の肩に手を乗せて、瞳を見つめる。


「そりゃそうかもしれないけど、今日の為にせっかく準備したのに」


瞳は焦った。



「いいの早紀」


「え?」


「私は大丈夫だから」


「美絵……」


「いつもの時とは感じが違うから、ただの気のせいかもしれないし、

せっかくみんなが楽しみにしてたのに、私一人のせいで中止になんかなったらヤダよ」


「美絵……」


「魚釣り行こう」


美絵は無理をして笑顔を作った。

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