呪島~ノロイジマ~
瞳の周りを2メートルほど離れて、幽霊になったみんながグルリと囲んでいる。



その円の中の砂浜が段々と沈んでいった。


「な!?」


瞳は焦った。


目の前にいる血だらけの輝之が、段々と上に見えていく……。


つまりそれは自分が沈んで行っているのだ。


それに気がついて慌てて進もうとするのだが、身体は意に反してドンドン滑り落ちる。


まるでそれは巨大な蟻地獄だった。


登っても登ってもサラサラと崩れる砂。


瞳はついに穴の一番深いところまで下ろされてしまった。



と同時に、段々と崩れてくる砂の量が増え、みるみる身体が砂に埋まっていく。





「ヤダ! 嫌よ! イヤぁあああああああああああああああああ」






瞳が大声で叫んだ直後、その顔は完全に砂の中に消えた。


地上に残されたのは、砂浜からつき出された瞳の右手首だけ……。

今日の為に彩られた可愛らしいネイルアートの爪が苦しげに宙を掻く。

しかしそれも、すぐに動かなくなってしまった。
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