呪島~ノロイジマ~
「まいった」


大輔は一人で山道を登りながら、何度呟いたか分からない台詞を呟いた。


そして周囲を確認する。



誰もいない。


ホッとしてまた歩き始める。


先ほどからこれの繰り返しだった。



ついつい急ぎ足になるのだが、さすがに40歳を越えて久しい身体は、

若かりし頃のようには動いてはくれない。



さすがに疲れて足を止める。



ふと雨戸が外れて転がっている家が目に入った。



――センミツっておったろう……。



大輔の脳裏に、数時間前に茂行とした会話が甦った。

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