呪島~ノロイジマ~
料理が出来ると二人だけで食事を始める。


正直なところ食欲はあまりなかったけれど、無理をして食べることにした。



「美味しいね」


「そりゃー俺が作ったんだもん」


「ちょ、これ私じゃん」


「あっ、そうか」



広いダイニングで二人きりの会話。


それでも黙ってしまうと押し潰されそうで、二人は必死で笑顔を作り会話を続ける。



お互いにずっと彼氏と彼女がいなかった二人にとって、初めての二人きりの食事……。


もしこれが、東京のレストランだったなら……


レストランじゃなくてもいい。



こんな状況じゃなかったら……。


心の底から楽しめない初デートが悲しかった。

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