呪島~ノロイジマ~
敦也のホッとした顔で、女が消えたのだと美絵は息を吐いた。



「おい、マジでやばいぞ」


敦也に言われて美絵は早紀の顔を見た。


すでに青ざめた顔に、紫色の唇。


もう裸を見るなとか言っている場合ではない。


敦也は早紀の服を全て脱がせると、自分も服を脱いだ。



「ちょ、敦也?」


焦る美絵を無視して、敦也は下着姿の早紀を膝に乗せて抱きしめる。


直接触れ合う肌と肌。


これがおそらく正しい処置なのだろうが、裸でくっつく二人がイヤだ。


美絵はそう思った。


でも、本当にイヤなのは、必死で早紀を助けようとしている敦也に向かって、早紀と裸同士で抱き合ってほしくないと思う自分の心だった。

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