呪島~ノロイジマ~
振り向くと女性が立っていた。



「すみません。夜鳴島のかたでしょうか?」



「え? ああ、はい。そうですけど」


驚きすぎてドキドキしたため、震える声で貴志が答える。



「もしかして今から島にお帰りになられますか?」



「え、ええ」


「では大変厚かましいのですが、船に乗せていただけないでしょうか……」



「いや、それは構わんけど……アンタ島に用事なんか?」


「はい」



「あのぉ〜間違うとったらスミマセン。アンタ彰ちゃんじゃない?」


そのとき貴志の妻の美春が声をかけた。



「え……?」


「私……美春じゃけど」



「み、は……美春! 美春なん! ほんまに美春なんじゃね。久しぶり〜元気じゃった?」


彰子は数十年ぶりの親友との再会に、封印していた岡山弁が出る。


「彰子ぉ〜アンタ生きとったんか?」


「うん。今は東京に住んどんよ」


「そうかなぁ〜」


美春と彰子は抱き合って再会を喜んだ。

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