呪島~ノロイジマ~
「良ちゃん、先に沖神港に寄れん?」


美春が言った瞬間、良輔と貴志が驚いて顔を見合わせた。



「いや、美春さん勘弁してください」


「何でよ?」



「何でよって……」


「そうじゃ美春。オヤジの遺体を連れて帰らにゃおえん(ダメ)のにから」



「そうじゃけど、先に彰ちゃんを送ってあげりゃあええが。ダイちゃんや茂ちゃんのことも気になるし」


「いや……でもなぁ」



「アンタさっき良ちゃんには、心配じゃねぇんか言うとったのに、アンタは心配しとらんのかな?」



「い、いや、アホォー心配しとるに決まっとるがの」


「ほんなら行きゃーええが」



「でも美春さん、もう帰って来とるかもしれんけん。やっぱいったん岡波に帰るわ」


自分も行きたくない良輔が、すかさず助け舟をだした。

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