呪島~ノロイジマ~
船は岡波港に着いた。


漁業組合の建物にはまだ明かりが点いている。


貴志は父の遺体を運ぶのを手伝ってもらうために、組合本部を目指し、

他の者もそれについて行った。



「おお貴志さん、大丈夫じゃったんか?」
「オヤジさんはおえなんだ(ダメダッタ)らしいのぉ」



ドアを開けて中に入ると、中にいた数人の男たちから声がかかる。




「そうなんじゃ、遺体を連れて帰ったけぇ、運ぶんてごぉ(テツダイ)してくれぇ」



「おお分かった」


大柄な春人が頷いて立ち上がった。




「なぁ、大輔さんと茂さんは?」


良輔が聞く。



「それがまだなんじゃ」


「え?」


「せぇでのー(ソレデナァ)幸さんとコウヤンが様子を見に行ったんじゃけど、まだ帰ってこんのじゃ」


春人は眉を曲げた。

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