呪島~ノロイジマ~
「何をしとんかのぉ〜大輔とシゲは?」


幸雄は岸に向かって舵を取る。



「あれ? でも……あの船シゲさんのじゃありませんよ」


光司が目を薄めて確認しながら言った。


「え……? ほんまじゃのぉ、あれはシゲが引っ張って行った。本土の子の船じゃ」



「ほんならシゲさんの船はどこに……?」


二人は夜の海を目を凝らして見回す。



「あれは?」


光司の指差した先……。


今来た方とは反対の、港からはかなり先にある岩場に大きな黒い塊がある。


「あれ……シゲの船じゃねぇか?」


いかんせんその辺りは暗くてよく確認出来ない。



「行ってみましょう」


光司に言われて、幸雄は保養所より先に茂行の船らしき物に向かって船を進めた。

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