呪島~ノロイジマ~
「おい! ありゃシゲの船じゃがのぉ」


かなり近づいたところで幸雄が大声をあげた。



船は岬の先端で座礁している。


この辺りは海面近くまで岩場が顔を出しているから、干潮の時間帯には岩場が邪魔で船では近寄れない。



「しげぇええええええ。だいすけぇええええええ」


大声で叫ぶが全く人の気配はなかった。



「ちょ、あれ何じゃ?」


光司が海を指差した。




「え? どこじゃ?」


幸雄が光司の指差した場所を見るが暗くてよく分からない。



水面に浮かぶ黒い塊。



もっと近づければハッキリと確認できるのだが、いかんせんこれ以上は近づけない。



仲間に連絡を取って何か投光器でも持ってきてもらおうにも、携帯電話も無線も繋がらない……。


幸雄は船のライトがそちらを照らすように船を回した。

< 437 / 716 >

この作品をシェア

pagetop