呪島~ノロイジマ~
早く新鮮な空気を吸いたいのに、どちらが海面か分からない。



必死で手足をバタつかせる。


――苦しい。息が……。



突然抱きしめられた。



幸雄はもがきながら相手を見る。



(茂行! 放せ! 放さんか!)


茂行は無表情のまましがみついている。


その顔が突然砕け、グチャグチャに潰れる。


(うわぁああああああああああ)


驚愕に大声を上げると同時に、大量の海水を飲み込んだ。



――胸が熱い! 焼けるように熱い!


幸雄はしばらくもがいた後、その動きを止める……。




その身体は真っ暗な海の底に向かって沈み始めた……。
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