呪島~ノロイジマ~
「ユキさぁあああああああん!」


海に向かって大声で叫ぶが、幸雄は一向に浮かんでこない。


光司は助けに行こうとするのだが、身体がまったく動かなかった。


船を掴んでいる手も、いや身体中がガクガクと震えている。



やはり沖神なんかに来なければよかったのだ。


幽霊、幽霊と騒いでいるから怖くて来る気はしなかったけど、

それでも心のどこかでは本当に幽霊なんかいるのかと疑っていた。



来なければよかった。何でついて来たりしたのだろう……。


悔やんでも悔やみきれない。


でも今更悔やんだところでどうすることも出来なかった。



幸雄はまだ浮かんでこない。


行かなければ幸雄は危ない。


光司は覚悟を決め、大きく息を吸う。








「遊ぼ」



すぐ後ろで声がした。

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