呪島~ノロイジマ~
「ただいま」


父の遺体と共に自宅に帰ってきた貴志が、玄関を開けて中に声をかける。





「お帰り」


奥から母の美津子が出てきた。



「お父さん、お帰り……」


美津子は真っ先に夫の亡き骸に声をかけると涙をこぼした。



「お義母さん……」


美春は言葉に詰まる。

義父の手を握って涙をこぼす義母に向かって、

とてもお通夜の準備を後回しにして、彰子と共に沖神に行きたいなんて言い辛い。



美春がどう切り出そうか考えていると、義母の美津子が顔を向けた。

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