呪島~ノロイジマ~
貴志の家を出ると、三人は沖神峠を目指して歩き始める。
彰子は申し訳なくてずっと断わり続けるのだけれど、美春は聞く耳を持たなかった。
「それにしてもみんな冷てぇもんじゃのぉ~。
ちょっと船を出してくれりゃあえ~のにから」
貴志は漁師ではないから船を持っていない。
「しょうがなかろう。アンタだってさっきまで行くのイヤじゃって言うとったが」
「そ……そりゃあ……」
貴志は口ごもった。
しばらく歩くと舗装路から沖神峠に向かう枝道へと入る。
すでに辺りは真っ暗で、貴志が持っているたった一つの懐中電灯だけが行く道を照らす明かりだった。
彰子は申し訳なくてずっと断わり続けるのだけれど、美春は聞く耳を持たなかった。
「それにしてもみんな冷てぇもんじゃのぉ~。
ちょっと船を出してくれりゃあえ~のにから」
貴志は漁師ではないから船を持っていない。
「しょうがなかろう。アンタだってさっきまで行くのイヤじゃって言うとったが」
「そ……そりゃあ……」
貴志は口ごもった。
しばらく歩くと舗装路から沖神峠に向かう枝道へと入る。
すでに辺りは真っ暗で、貴志が持っているたった一つの懐中電灯だけが行く道を照らす明かりだった。