呪島~ノロイジマ~
ここに来てようやく分厚い雲から月が顔を出し、わずかばかりの明かりを提供してくれる。
みんなは怯えているけれど、子供の頃からこの月明かりだけを頼りに、
何度も沖神峠を越えたことがある彰子にとってみれば、ただ懐かしいという感情しか湧いてこなかった。
峠の頂上を越えれば瀬戸内海が見える。
ここまで来ると本土の造船所の明かりや、街の明かりが見えて、彰子はいつもホッとしたものである。
まだここから十分は歩かなければならないけれど、彰子の心は遠い昔の幼い頃に戻り、懐かしさで胸が一杯になっていた。
忘れていた思い出が甦ってくる。
無理やり記憶から消していた懐かしき子供の頃の思い出が……。
「オイ! 何ならアレ!」
そんな彰子の望郷の思いは、貴志のあげた悲鳴でかき消された。
みんなは怯えているけれど、子供の頃からこの月明かりだけを頼りに、
何度も沖神峠を越えたことがある彰子にとってみれば、ただ懐かしいという感情しか湧いてこなかった。
峠の頂上を越えれば瀬戸内海が見える。
ここまで来ると本土の造船所の明かりや、街の明かりが見えて、彰子はいつもホッとしたものである。
まだここから十分は歩かなければならないけれど、彰子の心は遠い昔の幼い頃に戻り、懐かしさで胸が一杯になっていた。
忘れていた思い出が甦ってくる。
無理やり記憶から消していた懐かしき子供の頃の思い出が……。
「オイ! 何ならアレ!」
そんな彰子の望郷の思いは、貴志のあげた悲鳴でかき消された。