呪島~ノロイジマ~
「そうね……。でも……」


美春は首を振った。


電話は繋がらないし、頭を打っていて動かせないと言われたらどうすることも出来ないのである。



「ねぇ、船は来なかったの?」


美春は敦也に聞いた。



「来ました。けど……」


「けど?」



「ここに来る前にシゲさんの船の方に向かって行って」



「で?」


「そのままです」



「シゲさんのって……」


「大輔さんと一緒にここまで送ってくれたシゲさんの船です」



「その船はどこに?」



「あの岸際です」


敦也は窓の外を指差すが、当然真っ暗で見えるはずはなかった。

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