呪島~ノロイジマ~
「有り難う。ちょっと借りるわね」


彰子はそう言って懐中電灯を受け取ると、すぐに勝手口のほうに向かう。


「ちょ、待ってよ」


美春が慌てて後を追った。



「来ないで」


「え?」



「来ないで美春」



「何言ってるの? そんな訳にいかないわよ」



「お願い」


「無茶言わないでよ。一人で行って無事に帰れると思ってるの?」



「それは……」


「私も行く! 親友を一人で危険な目に合わせられないよ」



「みは……」


彰子の胸に熱いものがこみ上げる。



島を捨てて逃げた自分を……


幽霊の正体を知っていながら隠している自分を……


親友と呼んでくれるなんて……


彰子は嬉しくて……そして申し訳なく思った。

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