呪島~ノロイジマ~
「俺も行きます」


敦也が名乗り出た。


「え? ちょっとじゃあ私は?」


美絵が慌てて聞く。


「君はここで遠藤さんを診ててくれ」



「え? やだよ。怖いよ」


美絵は泣きそうな顔をした。



「待って、本当に私一人で大丈夫だから」


彰子はそう言って笑顔を作ると、すぐにまた真顔に戻って勝手口に向かう。


「待ってください! 本当にもうイヤなんですよ!」


敦也が大声で言った。


「え?」


彰子と美春が振り向く。


「さっきから、行き違いばかりで……大輔さんのときもそう。ずっと待ってるのはもうイヤなんです」


敦也の真剣な目に彰子は言葉を飲み込んだ。
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