呪島~ノロイジマ~
「パパ……?」


美波が嬉しそうな顔をして見つめた先……。


その視線の先に全員が振り向く。

懐中電灯で照らした場所に、若い男が立っていた。


「あ、アナタは!」


美絵が声をあげる。

あのとき自分に向かって、逃げろと言った男の霊だ。



「お兄ちゃん!」


彰子が叫んでよろよろとよろけながら近寄る。


「お兄ちゃん、お兄ちゃん……会いたかったよ」


「彰子……逃げろ」


竜太郎が呟いた。



「このままじゃ、俺も美波もここから出られない」


「え? どういうこと?」


泣き出した彰子に代わり、美春が聞いた。




「オマエが死んでも同じこと……何も変わらない……。

アイツが逝かせてくれない。だから逃げろ……」


「竜太郎さんそれはいったい!?」



竜太郎は苦しそうな顔をして彰子見つめて首を左右に振りながら、その場から消えていく。


「悪霊……」

「竜太郎さん!」


美春が叫んだけれど、竜太郎の霊は、その言葉を最後にそのまま消えてしまい、二度と現れることはなかった。
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