呪島~ノロイジマ~
彰子が今見ているのは、遠い日の自分の記憶ではなかった。



そう……


少女の目線である。



「私は由希子。あなたは?」


「私は彰子」


「ふ~ん。じゃあ彰ちゃんって呼んでもええ?」


「うん、ええよ。じゃあ私も由希ちゃんって呼ぶね」


「うん」


「ねぇ何して遊ぶ?」


「遊ぶんはええんじゃけど、そろそろウチに帰らんと……」


「え~~~そんなぁ~」


「ウチでじゃったら遊べるけど」


「じゃあ彰ちゃんちに行ってもええ?」


「うんええよ」


笑顔でそう言って歩き出す幼い自分。


その背中を追うビジョンを彰子は見ていた。
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