呪島~ノロイジマ~
「ねぇ彰ちゃんっちってまだぁ?」


二人が歩き始めてもうかなりの時間が過ぎている。


「うん。うち、アソコじゃけぇ」


彰子は山道の麓を指差した。



「え~~~~彰ちゃん、あんなに遠くから来とったん?」


「うん、そうなんじゃ、ここらへんには同じくらいの年の子がおらんから」


「ふ~~~ん」



「この島ってさぁ~、学校とかお店とか全部むこうにあるけん、私らすごい不便なんよ」


「ふ~ん、そうなんじゃね」


「うん。じゃけんもう歩き慣れて何とも思わんようになったわ」


話を続けながら坂道を下っていく彰子の背中について行く。



もう完全に記憶から消えていたあの日の映像が、現在の彰子の脳裏に映し出されていた。
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