呪島~ノロイジマ~
ぼんやりと薄暗い洞窟の中。


「彰ちゃん……」


奥の暗闇から何か出てきそうで、恐る恐る声を出してみる。



「彰ちゃんおらんの?」


そろりそろりと歩を進める。



「彰ちゃん……?」


問いかけて見るが返事はない。

隠れんぼをしているのだから、相手が返事をするはずがないということは、幼い由希子も理解していた。



さらに奥へと進んでみる。


ここまで来るとほとんど真っ暗だった。


何かが動いたような気がして、由希子は手探りで奥へと進む。



「あっ」

由希子の口から声が出た。

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