呪島~ノロイジマ~
彰子は家の周囲を捜しながらキョロキョロと遠くまで見回す。


途中峠の坂道の上のほうまで見たけれど、由希子の姿は見えなかった。


そして彰子は洞窟の前にやってきた。

ここには絶対に入ってはいけないと言われている。


と言われながらも何度か入ったことはあるが、中には何も無いから自然と入らなくはなっていた。


(もしかしたらここかなぁ……?)


薄暗い洞窟の中に足を踏み入れてみる。


「由希ちゃん」


声をかけるが返事はない。


彰子はホッとした。

むこうが捜しているのだから、いれば返事をするに決まっているのだ。


彰子は洞窟を出て茂みのほうに向かった。


しばらく探し回っていたが、日が沈み暗くなってきたところで、彰子は由希子は帰ったのだろうと思い、捜すのをやめた。

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