呪島~ノロイジマ~
夕方になっても誰も帰ってこない。

いつもなら両親も大好きな兄も帰っている時間である。


一人の留守番は正直怖い。

彰子は不安で仕方なかった。


ようやく両親が帰ってきたのは一時間近く後のことだった。


すでに外は真っ暗である。


「お母ちゃん遅いよー」


「ごめんごめん。すぐにご飯にするからね……。

あれ? 彰子お兄ちゃんは?」


「まだ帰って来てない」


「そうなの?」


「うん」


「そっかじゃあ淋しかったね。ごめんね」


母に頭を撫でられて、彰子はようやく安心した。


「おい彰子。飯が出来る前にお父ちゃんとお風呂に入ろう」


「うん」


「ちょっとお父さん、お湯がまだ入ってないわよ」


「ああ、そうか」


両親が笑い出す。彰子も嬉しくて大声で笑った。
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