呪島~ノロイジマ~
大好きなお兄ちゃんが帰ってきた。


「ちょっと竜太郎、遅かったじゃないの」


すぐに母が咎める。



「いや、それがさぁ~、岡波で遊びに来とる子がおらんように(イナク)なったいうて、大騒ぎになっとったけん」


「え?」


「それでみんなで捜しとったんじゃけど」




「じゃあ見つかったんじゃね」


「ううん。まだじゃけど暗ぅなったから帰ってきた」



「そう……。で、小さな子ってどこの子なん?」



「高原さんちのお姉ちゃんの子じゃって」


「高原って由里さんとこの?」


「うん。晴子お姉ちゃんが本土から連れて来とったんじゃって」


「晴子ちゃんこっちに帰って来とんの?」


「みたい」



「ふ~ん。ちょっと電話してみるわ」


母はそう言って電話に向かう。




そのおらんようになった子って……やっぱ由希ちゃんよなぁ。まだ帰っとらんの?


彰子は電話をかける母親の後ろ姿を見つめた。

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