呪島~ノロイジマ~
彰子は洞窟に入った。


さっき来たときは明かりを持っていなかったし、こちらが捜される立場だから、声をかけて返事がない段階でいないと思ったのだけれど、



彰子はやっぱり由希子がここにいるのではないのかと、気になって仕方ないのだ。



懐中電灯で照らしながら奥へと進む。


誰もいないし何もない。




少しホッとしながらも、一応一番奥まで行って一段下を照らしてみる。


彰子はハッとした。





彰子のすぐ足元の斜面をまるで引っかいたような跡がついている。


これは……

もしかして……


彰子はすぐに由希子がここに落ちて登ろうとしたのだと思った。



なのに由希子の姿はない。

登れたのだろうか……?

もう一段下の海面を照らしてみるが、どこにも由希子の姿はなかった。

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