呪島~ノロイジマ~
しばらくして両親と兄が帰ってきた。



「彰子、電話なかった?」


母の問いに彰子は小刻みに震えたまま頷いた。



「どうかしたの?」


「ぁ、うん」


「ん? 何?」


母が不思議そうに顔を覗き込んでくる。



「ううん。何でもない。何か怖くて」


彰子は慌てて目を逸らした。


「もう、バカじゃなぁ」


母は笑顔で抱きしめてくれた。




洞窟は外の海と繋がっている……。


由希子の遺体が見つかったのは三日後……。


場所は……。


潮溜まりとでもいうのだろうか、いつも流されたものはそこに漂着する。


それは茂行の船が座礁し、幸雄と光司が海に沈んだあの場所だった。

< 517 / 716 >

この作品をシェア

pagetop