呪島~ノロイジマ~
「きゃぁあああああ」


驚いた早紀はそのまま後ろに尻餅をつく。



「どうした早紀?」


後ろに立っていた泰博が、慌てて早紀の身体を抱え起こした。



「い、今……」


早紀は母のほうを指差す。


「どうした?」


「聞こえなかったの?」



「何が?」


早紀にはハッキリと聞こえた。


あの声は……


聞き覚えがない。まだ幼い少女の声。



(今の……もしかして美絵が言ってた少女の幽霊の声なの?)



早紀はゆっくりと起き上がり、母の顔を見る。



眠っているように瞳を閉じている母。


今のはいったい……。



「大丈夫か?」


泰博は震える娘の肩に手を回した。

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