呪島~ノロイジマ~
「本当なんですか?」

輝之はもう一度聞いた。




「うむ……」

老人は苦虫を噛み潰したような顔で横を向いた。


「この島の北側には、昔十数件の集落があったんじゃが、

すでに二十数年前からは誰も住んどらんのじゃ」


「はぁ……」



「みんな出て行った……幽霊のせいでな」


老人は言ってから、大きく息を吐き出した。

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