呪島~ノロイジマ~
駅に向かって帰る途中、大通りから一本中の道へ入った。


そのまましばらく進んだところで、住宅街の中の一軒の前で浩太が止まる。


「ここ?」


「ああ、ここだな」


結構古い家で、おそらく築三十年は経っているだろう。


売家と書かれた張り紙が貼ってあるが、それさえも色あせて久しい。


「どうするの?」


綾は周りをキョロキョロ見ながら聞いた。


「やっぱここまで来たら入るでしょ」


浩太がニヤッと笑う。


「怒られないかな?」


綾が小声で言うと、全員が近所を見回す。


「誰もいないし……じゃあ代表で俺と健太郎とアヤリンとチャコで行こうぜ」


浩太は嬉しそうに言った。


綾にはすぐに浩太の意図が分かった。


健太郎くんと私、自分と茶和子(サワコ)でカップルになりたいのだ。


「うん。じゃあ行こう健太郎くん」


「え~~~」


健太郎は少し渋った。


「じゃあオマエら、見張り頼むな」


浩太は一緒に着いて来ていた四人の部員に声をかけた。

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