呪島~ノロイジマ~
「先生」


「何だ?」


作品を運び終わって早々に、綾が気になって有吉に聞いた。



「あのですねぇ」


「ん?」


「さっき瀬戸内芸術祭に連れて行くメンバーって言いましたけど、全員じゃないんですか?」


「ああ……そうか……」


有吉はいったん全員の顔を見回す。


部員は八人。


もちろん全員が四国に行くつもりになっているのだ。


「スマン。実はさっき連れて行くメンバーと言ったが……。

表彰状と一緒にもらった資料に、瀬戸内芸術祭の概要があったんだけど、それによるとだなぁ」


「はい」


全員が目を輝かせた。


「こっちで作成したものを、向こうに送るだけだから、運搬費と現場での設置指示立会いの二人分の宿泊費しか出ないんだ。

ちょっと学校とも相談してみるけど、一応俺と浦川の二人だけの予定だ」


「え~~~~~俺と先生二人だけぇえ~~~」


浩太が不満の声をあげた。


「俺としても折角の機会だから、みんなを連れて行ってやりたいんだけどな」


有吉が申し訳なさそうな顔をする。


「行くなら自腹か……」


全員がため息を吐いた。

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