呪島~ノロイジマ~
「ねぇ綾」


「ん? 何チャコ?」


「あのさぁ……」


「うん」


「みんなには内緒なんだけど」


「え?」


「パパに頼んでみようかと思うの」


「え? 頼むって何を?」


「だから綾の旅費だよ」


「え?」


「さすがにみんなの分までは無理だから、他のみんなには内緒にしてほしいんだけど、

女の子が一人だけって言ったら、行かせてもらえそうにないから、綾も一緒にって頼んでみようかと思って」


「いいの?」
「マジで?」


綾だけでなく、健太郎の目も輝く。


「たぶん……。でもダメだったらゴメン」


「いいよ。それは仕方ないもん」


「じゃあ頼んでみるね」


「うん」


綾の目には、茶和子が女神に見えた。

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