呪島~ノロイジマ~
「えっ、いるの?」


健太郎は焦った。


それを自分に言うということは、その相手が自分ではないことを意味する。


「だからちょっとガッカリした」


「えっ、それはどういう……?」


綾が続けた言葉の意味が分からなくて聞き返した。



「片想いだってことが分かったからだよ」


「片想い?」


「うん」


「だって私の好きな人は、今好きな子がいないっていったから」


「ちょ、それ……もしかして……」


健太郎は驚いて言葉に詰まる。


綾は健太郎の目を見つめて頷いた。



「違う」


「え?」


「違うんだ。本当は俺、オマエのことが好きなんだ」


この台詞を聞いた瞬間。綾は嬉しすぎて気を失いそうになった。


「いないなんて言ってゴメン。いるとか言って、変な誤解されると困ると思って……」


「ううん。いいよ。分かってる」


「そっか。良かった。じゃあ俺と付き合ってくれる?」


「うん」


綾は満面の笑みで答えた。

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