呪島~ノロイジマ~
「それで?」


「ん?」


「そのとき幽霊は?」


「ワシには何もせんかったみたいじゃ。

じゃがのぉ、助け起こされて帰ろうと歩き出したとき、

一人の若い衆が「あそこにおる!」言うて叫んでのぉ、

見たら一番麓の竜太郎の家の中から、あの女がワシらをニヤニヤしながら見とった」


それ以来、また誰も島のもんはあの辺の集落、沖神地区には行かんようになってしもうたんじゃ」


老人は遠い目をした。

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