呪島~ノロイジマ~
「落ちた落ちた!」


目の前に雷が落ちるのなんて、人生で初めてのことである。




ふと、どこに落ちたのか気になった浩太は、窓の外を覗く。



「うわぁああああああああ」



「ど、どうした!?」



叫んだ浩太に向かって有吉が聞いた。



「燃えてる! 船が燃えてる!」



「何?」


全員が窓の外を見る。



村越の父の船が炎上していた。



「おじいさん!」


浩太は叫ぶとそのまま階段を目掛けて駆け出した。



今更船の元に駆けつけても、おそらく村越の父は助かるまい。



けど浩太は船に向かって走った。


とにかく船で待ってくれているおじいさんが心配だったのだ。


その浩太を見て、冷静な判断など出来なくなっている全員が、浩太の後を追って船の元に向かった。
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