呪島~ノロイジマ~
彫刻展だか芸術祭だかしらないけど、何で最優秀賞なんかとっちゃうのよ。


子供が大会で優秀な成績を残せば、普通の親なら手放しで喜ぶだろう。


でも早紀は不満なのだ。理由は最優秀賞をとったせいで、綾が瀬戸内芸術祭に泊りがけで参加するからである。


たった二泊三日。


されど二泊三日。


しかも聞けば顧問教師の運転で、車で行くという。


素人が長距離運転なんかして、事故なんかしないってどうして言い切れるのか?


かなり揉めたけど、結局夫と娘に押し切られてしまった。


次に綾に会えるのは明後日の夜。



気が遠くなるほど先だ。


綾を送り出した後も、早紀にはしなければならない家事がたくさんある。


早紀は胸にもやもやした気持ちを抱えたまま、ため息を一つ吐いてからまずは食器の洗い物を始めた。



午前中にするべきことを全て終わらせて、昼食の用意をする。



今頃綾はどこらへんにいるのかしら? 名古屋くらいかしら?


早紀はふとそれが気になった。


車で四国までって、いったいどれくらいかかるのだろう?


そうだ! 後でパソコンで調べてみよう。


早紀はそそくさと昼食を終わらせると、綾の部屋に向かった。

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