呪島~ノロイジマ~
早紀は夜鳴島に運行している高速艇乗り場に到着した。
あのとき……
二十年以上前のあのとき、父と二人で再度島に渡ったときと全く変わっていない景色。
チケット売り場に入ると、あの頃にはなかった沖神までのチケットを販売している。
早紀はチケットを買おうと財布を取り出した。
ところが自販機のランプは岡波行きのモノにしか点いていない。
「あのぉ〜沖神行きのチケットは……」
近くにいた女性に聞いてみる。
「ああ、お客さん。沖神に停まるのはせとうち芸術祭の期間中だけなんですよ」
「え?」
「芸術祭は明後日からなんで、今日は美術館はやってませんから、この後六時発の岡波行きしかありません」
「そんな……でも娘が行ってるって、五色島の旅館のおばさんが……」
「えっ、そうなんですか? そりゃ確かに職員は準備の為に美術館に行ってますけど……」
売り場の女性がそう言ったとき、船の操縦士らしき男が入って来た。
あのとき……
二十年以上前のあのとき、父と二人で再度島に渡ったときと全く変わっていない景色。
チケット売り場に入ると、あの頃にはなかった沖神までのチケットを販売している。
早紀はチケットを買おうと財布を取り出した。
ところが自販機のランプは岡波行きのモノにしか点いていない。
「あのぉ〜沖神行きのチケットは……」
近くにいた女性に聞いてみる。
「ああ、お客さん。沖神に停まるのはせとうち芸術祭の期間中だけなんですよ」
「え?」
「芸術祭は明後日からなんで、今日は美術館はやってませんから、この後六時発の岡波行きしかありません」
「そんな……でも娘が行ってるって、五色島の旅館のおばさんが……」
「えっ、そうなんですか? そりゃ確かに職員は準備の為に美術館に行ってますけど……」
売り場の女性がそう言ったとき、船の操縦士らしき男が入って来た。