呪島~ノロイジマ~
「あれ? 後藤さん何でおるんよ?」


女性が不思議そうに聞く。



「何でって……市役所の松本さんから電話があって、東京のほうのお客さんが、急に見学に来ることになったけぇ、迎えに来るのを少し遅らせてくれって」


「ああ……そうじゃったん」



「それがのぅそれ以降電話が無ぅてな、こっちからかけても全然繋がらんのじゃ」


「何でじゃろうな?」


「じゃけぇちょっと行ってくらぁ」



「あっ、後藤さん。じゃったらこっちのお客さん乗せて行っちゃってくれん?」


女性が早紀を指す。



「え? 沖神にか? そりゃあえ〜けど……帰りはどうすんでぇ」


「娘さんが美術館に行っとんじゃって」


「ああ、ほんなら急なお客さんいうんが、娘さんなんかのぉ」


「ええ、そうです。お願いします。連れて行ってください」


早紀は船長に頼んだ。

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