呪島~ノロイジマ~
早紀を乗せた船は一路沖神港に向かう。


その間二人きりの船長と色々話をした。


普段はせとうち芸術祭期間のみ、沖神港に立ち寄り、その後岡波港に向かうこと。

今日は美術館の職員が準備の為に出勤しているから、五時に迎えに行く予定にしていたのに、

急なお客さんが来ることになったから、迎えに来るのを遅らせて欲しいと連絡が入ったきり、その後連絡が取れなくなっていること。

自分たちの船以外で一般客が島に行くことは出来ないから、綾たちはおそらく五色島の漁師が送ったのだろうということ。


そんな話をしていたら、雨が降り始めた。


何だか嫌な雰囲気である。



高速艇というだけあって、結構な速度が出ているらしく、みるみる島が大きくなって来た。


久しぶりに見る夜鳴島の、なんと不気味なことか……。


早紀の身体は知らぬ間に震えていた。



(綾……お願い。無事でいてね)


早紀は両手を胸の前で握り締めて祈る。



「あれ……何じゃ?」


かなり島に近づいたところで、船長が目を凝らして見つめた。

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