呪島~ノロイジマ~
急に部屋が薄暗くなった。


「あれ?」


松本は窓の外を見る。


今の今まで雲一つない快晴だった空が、今にも雨が降りそうなほどの黒雲で覆われていた。



「うわぁ降りそうだね」


松本が金子由加里に向かってそう言った瞬間だった。



周りが真っ白になったのだ。


「え?」


何が起こったのか分からない。



その直後……。



『ドォオオオオオオオオオオンガラガラガラガラ』



もの凄い音が轟く。


「うわぁあああああ」
「きゃぁあああああ」


松本と由加里は同時に悲鳴を上げて身をすくめた。



「か、か、雷か?」


松本が窓の外に目を向ける。



「あっ!」



港に係留している船から激しい炎が上がっていた。

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