呪島~ノロイジマ~
燃え盛る船。


港に駆けつけたものの、とてもこれ以上は近寄ることは出来なかった。


この炎の中で、とても村越の父が生きているとは思えない。



「ダメじゃ……」


松本が首を横に振る。



「おじいさぁああああああん」


浩太が必死で叫んだけれど、当然返事は帰ってこなかった。



「ダメだ。とりあえず戻ろう」


有吉の呼びかけで、全員が救助を諦めて美術館へ戻ろうと振り返り歩き始める。






「ぅぅぅぅぅ」



(えっ?)



何かが聞こえて、有吉は立ち止まった。



「ぅぅぅぅぅぅぅ」



――聞こえる……。



有吉はもう一度海の方に振り返った。

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