呪島~ノロイジマ~
早紀はもう心配で心配で仕方なかった。


綾たちが乗ってきたと思われる船が、無残に破壊されているのだから当たり前である。


やっぱり反対すればよかった。


今更ながら悔やんでも悔やみきれない。



建物に飛び込んですぐ左、かつてダイニングだった場所が事務所っぽくなっている。




早紀は目を見開いて固まった。



女性が倒れていたのだ。



ガクガクとヒザが震える。


周りを見回すけど、他に誰も見当たらない。



「綾! 綾いないの!?」


大声で叫ぶけど反応がない。


早紀は二階に向かって階段を駆け上がる。


あの頃の二階には、大きな四つの部屋があったけど、階段を上がりきったそこは、広い展示室になっていた。

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