呪島~ノロイジマ~
「ちょっとお父さん!」


妻が輝之を押しのけ、夫の身体にすがりつく。


老人は大きく口を開き、苦しそうに胸をかきむしると、

そのまま目を見開いたまま動かなくなった。


「お父さん! お父さん!」


大声で叫ぶ母の声を聞いて、部屋の中から息子が飛び出してくる。


「どうしたんじゃ?」


「貴志ぃーお父さんがぁー」


「親父ぃーーー」


貴志は父の身体を母の反対側から抱え起こした。

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