呪島~ノロイジマ~
「何だよそれ……浩太を殺したくせに……」



「はぁ? 大丈夫かオマエ?」



「うわぁあああああああああ」


突然健太郎が男に飛び掛る。



馬乗りになって殴りかかる健太郎に、周りにいた島民たちが慌てて健太郎の身体を引き離した。



「うわぁあああああ放せ! 浩太を返せよコノ野郎!」


普段大人しくて、声を大にして叫ぶことのない健太郎の興奮する姿を、綾は初めて見た。


「うわぁああああああ浩太ぁあああああああ」


「健太郎くん止めて!」


綾は健太郎の身体を押さえている島民を引き離し、そのまま健太郎を抱きしめる。



「あ……や……」



「健太郎くん」


「ごめん……もう大丈夫だから……」



「何なんじゃオマエらは? え~加減にせぇよ」


健太郎に殴られた男が、頬を擦りながら睨む。



「ごめんなさい! ごめんなさい!」


綾が大きな声で泣きながら謝った。



「ちっ、なんじゃいそりゃ」


男は面白くなさそうに呟くと、背を向けて立ち去っていく。



「帰ろうや」


他の男が声をかけ、全員が健太郎のほうを白い目で一瞥すると、岡波の方に向かって歩き始めた。

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