呪島~ノロイジマ~
「あんたは?」


「あっ、いえ俺は北の保養所に泊まりに来てて、ここにライターを買いに……」


「北の保養所……?」


その時、貴志は入り口に立っている少女に気がついた。



「うわぁああああああああ」


貴志は死ぬほど驚いて、思わず後ろに下がり、バランスを崩して転倒する。


――ゴン


後ろの棚で頭を強打した貴志は、薄れ行く意識の中で思った。



去年沖神地区で倒れた父を助けに行ったときに見た、親友だった竜太郎の家の中にいた幽霊が、北の保養所に宿泊に来た青年に憑いて来たと……。

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