呪島~ノロイジマ~
「確かここからだな」


しばらく山に向かって歩いたところで、輝之が早紀を見た。


舗装されていない山道へと入っていく枝道なのだが、

老人の話が確かなら、一年前から誰も通っていないはずである。


雑木が生い茂り、生活道路でなくなってから久しいのが分かる。


「行こうか?」


輝之は早紀に向かって言ったが、それはむしろ自分自身に対して言ったというほうが正解だった。

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